「無料で送るサンプルだから、インボイスの金額は0円でよい?」「No Commercial Valueと書けば、税関への価格の説明は不要?」
サンプル品の発送では、相手に代金を請求しないことと、通関のための価額がないことを分けて考える必要があります。
この記事では、無償サンプルのインボイスを書くときの考え方、英文の使い方、価格の根拠となる資料をやさしく解説します。書類全体の基本は、インボイス・パッキングリストの役割と記載項目で確認してください。
無償サンプルでもインボイスの金額は必要?
「支払額0」と「価額0」は同じではない
無償サンプルは、試用や品質評価などの目的で、商品代金を受け取らずに提供する品物です。しかし、無料で渡す品物にも、材質・機能・数量に応じた価値があります。
例えば普段は販売している部品を、取引前の評価用に無償提供する場合を考えてみましょう。買主への請求はなくても、通関する側には「どんな物を、どれだけ、どのような価額の根拠で送るのか」を説明する必要があります。
No Commercial Valueは「価格情報が不要」という意味ではない
No Commercial Valueは、無償の貨物であることを伝えるために使われる表現です。それだけを書いて金額の説明を省くと、税関や運送会社から追加資料を求められる可能性があります。
例えばFedExの書類作成案内では、取引金額がない場合にも通関用の価額が必要で、ゼロ価額は受け入れられない旨が示されています。これは同社の案内例であり、実際に使う書式や入力欄は発送先とサービスに合わせて確認します。
無償インボイスに記載する内容と英文の例

まずは商品を具体的に説明する
品名を「Sample」だけで済ませず、何のサンプルかを記載します。例えば、材質、製品名・型番、数量、用途などです。相手や通関担当者が、実際の貨物と照合できる説明を目指しましょう。
- 発送者・受取人の名称、住所、連絡先
- インボイス番号、発行日
- 具体的な品名、数量、単位、原産国など
- 通関用の単価・総額・通貨と、その金額の性質
- 無償で送る理由、費用負担等の必要な条件
必要項目は国・品物・利用サービスで異なります。上の一覧だけで、どの国のインボイスも完成するという意味ではありません。
無償であることと価額の用途を分けて示す
次は英文を組み立てるための仮定の記載例です。品物は品質評価用のプラスチック部品で、3個を無償提供する設定です。
Plastic components for evaluation, 3 pieces.
No charge to consignee.
Value for customs purposes only.
日本語では「評価用のプラスチック部品3個。荷受人への商品代金の請求はありません。記載価額は通関目的のみです」という趣旨です。
これに、根拠資料に基づいた通関用価額と通貨を、指定の欄に記載します。「価額の欄に何を入れるか」と「代金を請求しないことの説明」を両方そろえるのがポイントです。
この英文は説明用の例で、特定の国の税関が承認した定型文ではありません。No Commercial ValueやNot for saleなどの記載が必要かも、通関業者や運送会社の案内で確認してください。
金額はどう決める?日本へ輸入する場合の注意点
販売価格や価格表は、判断の根拠として準備する
日本への輸入では、無償サンプルだから一律に1円や1ドルで申告できるわけではありません。一方で、輸出者が書いた参考価格を、そのまま課税価格と決めつけることも避けましょう。
税関の質疑応答事例には、無償の商品サンプルについて、売買によらないため取引価格による原則的な方法を使えず、他の評価方法を検討するケースが示されています。その事例では、合理的な根拠と認められる価格表等を使う方法が説明されていますが、全てのサンプルに同じ計算を当てはめるものではありません。
発送前に手元へそろえたい資料
- 無償提供の理由が分かるメール・合意書
- 商品カタログ、仕様書、写真
- 同じ品物の価格表や通常の販売資料など
- 運賃・保険料の負担と金額が分かる資料
特に初めて扱う品物は、到着後に価格の根拠を取り寄せるより、発送前に確認しておく方が説明しやすくなります。継続する取引で評価方法に迷う場合は、税関の関税評価担当部門への照会も検討できます。
よくある質問(Q&A)
サンプルと書けば関税は免除される?

サンプルという呼び方だけでは、免税が決まるわけではありません。例えば注文取り集め用の見本には、性質や価額等に応じた免税要件があります。無償かどうかと、免税要件を満たすかどうかは、別に確認します。
プロフォーマインボイスなら、価格を書かなくてもよい?

書類の名称を変えても、貨物の説明や通関用の価額の確認は必要です。無償品に使われるプロフォーマインボイスを受け付けない国・地域があるため、仕向地の条件を確認するよう説明されています。
まとめ:無償の説明と、通関用価額の根拠をそろえよう
無償サンプルのインボイスでは、「代金を請求しない」という説明に加えて、貨物の内容と通関用価額を示すことが大切です。価格を勝手に0円・1円にせず、どの資料を根拠にしたのかを整理しましょう。
まずは発送予定のサンプルについて、品名・目的・数量・価格の根拠資料を確認し、通関業者や運送会社へ書類案を見てもらうところから進めてみてください。


