【通関士試験対策】保税地域とは?
保税地域の基本
通関士試験では、保税地域に関する問題が毎年出題されています。実務でも重要な知識となるため、試験対策として正しく理解しておきましょう。本記事では、保税地域の基本概念、種類、試験で問われやすいポイントを解説します。
保税地域の役割・種類
保税地域とは、関税法に基づき、輸入貨物に対する関税の課税を延期または免除することができる区域のことです。税関の監視下で運営され、輸入手続きを経るまでの間、貨物を一時的に保管・加工・展示などの取扱いが可能となります。
保税地域についての基礎情報についてはこちらの記事をご覧ください👉!

【通関士試験対策】保税地域を解説!
通関士試験では、穴埋め問題や選択式で出題されることが多いため、それぞれの保税地域で可能な作業や関連条文をしっかり覚えましょう。
保税地域の関連条文は多岐にわたります。問題集を繰り返し解き、理解を深めましょう。
保税地域の制限
関税法第30条第1項
外国貨物は、保税地域以外の場所に置くことができない。ただし、次に掲げるものについては、この限りでない。
- 難破貨物
- 保税地域に置くことが困難又は著しく不適当であると認め税関長が期間及び場所を指定して許可した貨物
- 特定郵便物の規定により押収された物件その他政令で定める貨物
- 信書便物のうち税関長が取締り上支障がないと認めるもの
- 特例輸出貨物
関税法基本通達30-1(難破貨物の定義)
30―1 法第30条第1項第1号に掲げる「難破貨物」とは、遭難その他の事故により船舶又は航空機から離脱した貨物をいう。したがつて、単に運航の自由を失つた船舶又は航空機に積まれている貨物は、これに含まれない。
対策ポイント
- 外国貨物は、原則として保税地域に置かなければならない。ただし、例外があり、試験ではこの例外が問われる。
- 例外の中でも難破貨物の定義については、頻出箇所なので条文をチェック。
見本の持ち出し・廃棄
関税法第32条
保税地域にある外国貨物を廃棄しようとする者は、あらかじめその旨を税関に届け出なければならない。
関税法第34条
保税地域にある外国貨物を見本として一時持ち出そうとする者は、税関長の許可を受けなければならない
対策ポイント
- 見本の一時持ち出しは税関長の許可が必要。
-
廃棄は届出制、滅却は承認制。(セットで覚える)
記帳義務
関税法第34条の2
保税地域(保税工場及び保税展示場を除く。)において貨物を管理する者は、その管理する外国貨物又は輸出しようとする貨物についての帳簿を設け、政令で定める事項を記載しなければならない
対策ポイント
- 保税地域において貨物を管理する者は、貨物の出入りを帳簿に記録する必要がある。
保税蔵置場
関税法第43条の2
- 保税蔵置場に外国貨物を置くことができる期間は、当該貨物を最初に保税蔵置場に置くことが承認された日から2年とする。
- 税関長は、特別の事由があると認めるときは、申請により、必要な期間を指定して前項の期間を延長することができる。
関税法第45条
- 保税蔵置場にある外国貨物(輸出の許可を受けた貨物を除く。以下この項及び次項において同じ。)が亡失し、又は滅却されたときは、当該保税蔵置場の許可を受けた者から、直ちにその関税を徴収する。ただし、外国貨物が災害その他やむを得ない事情により亡失した場合又はあらかじめ税関長の承認を受けて滅却された場合は、この限りでない。
- 税関長は、保税蔵置場にある外国貨物が腐敗し、若しくは変質し、又は他の外国貨物を害するおそれがある等の事情によりこれを滅却することがやむを得ないと認めるときは、前項ただし書の承認をしなければならない。
- 保税蔵置場にある外国貨物が亡失した場合には、当該保税蔵置場の許可を受けた者は、直ちにその旨を税関長に届け出なければならない。
対策ポイント
-
保税蔵置場の許可を受けた者が関税を納付する義務を有する。
-
許可の期間は10年を超えることができないが、10年以内の期間を定めて更新することができる。
- 保税蔵置場の許可を受けた者はその保税蔵置場の収容能力を増減、または改装等する場合はあらかじめ税関長に届け出する必要がある。
- 問題文の用語で意味が違ってくるので注意↓。
用語 | 意味 | 期間 |
---|---|---|
保税蔵置場に置く | 「蔵入れ承認」を受け、貨物を長期保管する | 2年間 |
保税蔵置場に入れる | 「一時蔵置」として貨物を短期間保管する | 3か月 |
保税工場
関税法第56条
- 保税工場とは、外国貨物についての加工若しくはこれを原料とする製造又は外国貨物に係る改装、仕分その他の手入をすることができる場所として、政令で定めるところにより、税関長が許可したものをいう。
- 保税工場の許可を受けた者は、当該保税工場において使用する輸入貨物については、当該貨物を当該保税工場に入れた日から3月までの期間に限り、保税蔵置場の許可を併せて受けているものとみなす。
- 保税工場の許可を受けた者は、保税蔵置場の許可をあわせて受けることができる。
関税法第59条
- 保税工場における保税作業(改装、仕分その他の手入を除く。)に外国貨物と内国貨物とを使用したときは、これによつてできた製品は、外国から本邦に到着した外国貨物とみなす。
- 政令で定めるところにより、税関長の承認を受けて、外国貨物と内国貨物とを混じて使用したときは、前項の規定にかかわらず、これによつてできた製品のうち当該外国貨物の数量に対応するものを外国から本邦に到着した外国貨物とみなす。
対策ポイント
-
保税工場の許可を受けたときは、3カ月以内なら、保税蔵置場の許可を併せて受けたものとみなされる。
-
3カ月を超える場合または3カ月以内であっても外国貨物に対して保税作業を開始する場合は「移入承認」が必要。その後の蔵置期間は承認された日から2年間(税関長の承認で延長可能)。
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保税工場での保税作業開始・終了時は税関へ届け出が必要である。ただし、税関長が取締り上支障がないと認めた保税作業の開始は届け出を省略することが可能。
-
保税工場では外国製品を使用して保税作業をすることができ、その際できた製品は外国貨物となり、内国貨物と外国貨物を混じて使用した場合は外国貨物の割合に応じて課税される。
総合保税地域
関税法第62条の8
総合保税地域とは、一団の土地及びその土地に存する建設物その他の施設で、次に掲げる行為をすることができる場所として、政令で定めるところにより、税関長が許可したものをいう。
- 外国貨物の積卸し、運搬若しくは蔵置又は内容の点検若しくは改装、仕分その他の手入れ
- 外国貨物の加工又はこれを原料とする製造
- 外国貨物の展示又はこれに関連する使用
関税法第62条の10
総合保税地域に外国貨物を入れる者は、当該貨物をその入れた日から3月を超えて当該総合保税地域に置こうとする場合又は当該貨物につきその入れた日から3月以内に当該総合保税地域において上記に掲げる行為をしようとする場合には、その超えることとなる日前又は当該行為をする日前に税関長に申請し、その承認を受けなければならない。
対策ポイント
-
総合保税地域は外国貨物を入れた日から3カ月可能。
- 3カ月を超える場合または3カ月以内であっても加工、製造もしくは展示、使用をする場合は承認が必要。承認されれば承認された日から2年間置くことができる。
- 総合保税地域で販売、消費される貨物はあらかじめ税関長に届ける必要がある。
- 総合保税地域にある外国貨物が亡失、もしくは滅却等された場合に関税が発生する場合、貨物を管理していた者が許可を受けた法人以外のときは、貨物管理していた者と許可を受けた法人が連帯して関税を納める義務がある。
【通関士試験対策】過去問チャレンジ
まとめ
保税地域の制度は、関税法の中でも特に重要な部分であり、通関士試験でも頻出です。それぞれの地域の特徴や条文をしっかり押さえ、過去問を解きながら理解を深めていきましょう。
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