通関士試験対策:輸出通関のポイントを徹底解説
本日は、関税法における輸出通関について学んでいきます。輸出通関の手続きは、通関士試験でも頻出の内容であり、実務においても重要な知識となります。本記事では、輸出申告の流れや関連する条文を解説し、試験対策として押さえておくべきポイントを整理します。
輸出通関の基本
輸出申告の基本的な流れは以下の通りです。
- 輸出申告(税関へ申告)
- 輸出許可(税関による審査・許可)
- 貨物の国外持ち出し
本記事では、このうち輸出申告と輸出許可の手続きについて詳しく解説します。輸入通関と異なる点として、輸出申告では申告価格が厳密に決められておらず、おおよその金額で申告できることが挙げられます。この点を正しく理解し、試験対策に役立てましょう。
輸出申告の特徴
- 申告価格: おおよその金額で申告できる(輸入申告とは異なる点)
- 申告単位: 財務大臣が定める単位(正味数量で申告)
- インコタームズ: 申告価格はFOB(本船甲板渡し価格)で統一される
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試験対策のポイント:輸出通関
試験では、輸出通関に関する問題が選択式や条文の穴埋め形式で出題されます。特に、関税法や施行令に基づく条文の語句が問われることが多いため、正確に覚えておくことが重要です。例えば、関税法施行令第58条の輸出申告に必要な内容についてといった部分は、穴埋め問題で頻出です。
輸出申告の手続き
関税法第67条(輸出又は輸入の許可)
貨物を輸出し、又は輸入しようとする者は、政令で定めるところにより、当該貨物の品名並びに数量及び価格(輸入貨物(特例申告貨物を除く。)については、課税標準となるべき数量及び価格)その他必要な事項を税関長に申告し、貨物につき必要な検査を経て、その許可を受けなければならない
関税法第67条の2(輸出申告又は輸入申告の手続)
1. 輸出申告又は輸入申告は、輸出又は輸入の許可を受けるためにその申告に係る貨物を入れる保税地域等の所在地を所轄する税関長に対してしなければならない。
2. 外国貿易船に積み込んだ状態で輸出申告又は輸入申告をすることが必要な貨物を輸出し、又は輸入しようとする者は、前項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより税関長の承認を受けて、当該外国貿易船の係留場所を所轄する税関長に対して輸出申告又は輸入申告をすることができる。
関税法施行令第58条(輸出申告の手続)
輸出しようとする貨物についての申告は、輸出申告書を税関長に提出しなければならない。ただし、税関長において当該貨物の種類又は価格を勘案し当該各号に掲げる事項の記載の必要がないと認めるときは、その必要がないと認める事項の記載を省略させ、また、当該貨物が旅客又は乗組員の携帯品であるときは、口頭で申告させることができる。
① 貨物の記号、番号、品名、数量及び価格
② 貨物の仕向地並びに仕向人の住所又は居所及び氏名又は名称
③ 貨物を積み込もうとする船舶又は航空機の名称又は登録記号
④ 輸出の許可を受けるために貨物を入れる保税地域等に規定する保税地域等の名称及び所在地
⑤ その他参考となるべき事項
試験対策ポイント
- 輸出申告の手続きが定められており、試験でも頻出。穴埋めの語群選択で出題されてもよいように条文をチェック。
- 旅客や乗組員の携帯品に該当する場合、口頭申告が可能である点に注意。
輸出申告の内容
関税法施行令第59条の2(申告すべき数量及び価格)
1. 貨物の数量は、財務大臣が貨物の種類ごとに定める単位による当該貨物の正味の数量とする。
2.輸出しようとする貨物についての貨物の価格は、当該貨物の本邦の輸出港における本船甲板渡し価格(航空機によつて輸出される貨物については、これに準ずる条件による価格とし、無償で輸出される貨物については、当該貨物が有償で輸出されるものとした場合のこれらの価格とする。)とする。
試験対策ポイント
- 貨物の単位は財務大臣が決定し、申告はその単位の正味数量(net weight)で行う必要がある。
- 「財務大臣」を「税関長」とする誤った選択肢が出題されることがあるため注意。
- 申告価格はFOB(本船甲板渡し価格)であり、無償貨物も有償換算で申告する必要があるす。(FOB以外のインコタームズであってもFOB価格へ変更し申告が必要。)
インコタームズが不安な方は下記の記事も参考にしてください。

本船扱い・ふ中扱い
関税法施行令第59条の5(貨物を外国貿易船等に積み込んだ状態で輸出申告又は輸入申告をすることの承認の手続)
輸出申告又は輸入申告の手続の規定による税関長の承認を受けることができる場合は、次に掲げる場合とする。
① 輸出申告又は輸入申告に係る貨物を他の貨物と混載することなく外国貿易船に積み込んだ状態で輸出又は輸入の許可の検査及び許可を受けようとする場合
② 輸出申告又は輸入申告に係る貨物の外国貿易船に対する積卸しの際、当該貨物を他の貨物と混載することなくはしけ等に積み込み、その状態で検査及び許可を受けようとする場合
試験対策ポイント
- それぞれの違いについての理解が重要。
区分 | 内容 |
---|---|
本船扱い | 外国貿易船に直接積み込んで検査・許可を受けることが出来る制度 |
ふ中扱い | はしけに積み込んで検査・許可を受けることが出来る制度 |
輸出申告の特例
関税法第67条の3(輸出申告の特例)
次に掲げる者は、前条第一項又は第二項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、いずれかの税関長に対して輸出申告をすることができる。この場合において、第二号に掲げる者が特定委託輸出申告を行うときは、その申告に係る貨物が置かれている場所から当該貨物を外国貿易船等に積み込もうとする開港、税関空港又は不開港までの運送を特定保税運送者に委託しなければならない。
① 貨物を輸出しようとする者であつてあらかじめいずれかの税関長の承認を受けた者(以下「特定輸出者」という。)
② 貨物を輸出しようとする者であつて当該貨物の輸出に係る通関手続を認定通関業者に委託した者(「特定委託輸出者」という。)
③ 認定製造者が製造した貨物を当該認定製造者から取得して輸出しようとする特定製造貨物輸出者に規定する特定製造貨物輸出者をいう。
試験対策ポイント
- 特定輸出申告に関する規定があり、あらかじめいずれかの税関長の承認を受ける必要があ
- 「特例輸出者」と「特定委託輸出者」の違いを理解しておくことが重要。
他法令の証明・確認
関税法第70条
1.他の法令の規定により輸出又は輸入に関して許可、承認を必要とする貨物については、輸出申告又は輸入申告の際、当該許可、承認等を受けている旨を税関に証明しなければならない。
2.他の法令の規定により輸出又は輸入に関して検査又は条件の具備を必要とする貨物については、第六十七条(輸出又は輸入の許可)の検査その他輸出申告又は輸入申告に係る税関の審査の際、当該法令の規定による検査の完了又は条件の具備を税関に証明し、その確認を受けなければならない。
3.第一項の証明がされず、又は前項の確認を受けられない貨物については、輸出又は輸入を許可しない。
試験対策ポイント
- 外為法や食品衛生法など、税関以外の許可が必要な場合がある。
- 「検査又は条件の具備」、「税関の審査の際」といった語句が穴埋め問題で問われることが多い。
【通関士試験対策】 過去問チャレンジ
まとめ
輸出通関の手続きは関税法と施行令に基づいて規定されており、試験では条文の正確な理解が求められます。特に、輸出申告の内容や特例の規定については、過去問を活用しながら確実に押さえておきましょう。次回は、輸入通関について解説します。
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