デミニマス(de minimis)とは?意味と基本概念
**de minimis(デミニマス)**とはラテン語で「ごくわずかな」「大した問題ではない」という意味です。
輸出管理の文脈では、
外国製品の中に含まれる米国由来技術の割合が“ごく少ない”場合、
EARの対象としないという例外ルール
を指します。
なぜ割合が重要なのか?
今や製品は世界中の部品によって構成されます。
その中の“米国由来技術がどれくらい占めているか”を判断しないと、どの国の輸出規制に従うべきか決められません。
デミニマスルールは、その判断基準として非常に重要です。
デミニマスルールの仕組み:判断基準を具体的に解説
デミニマスルールでは、製品に含まれる米国成分(U.S.-origin content)の割合が基準値を超えると、その製品はEARの規制対象になります。
● 基準値(閾値:デミニマス値)
| 対象国の区分 | 米国成分の上限割合(デミニマス値) |
|---|---|
| 通常国(日本、EU、ASEAN等) | 25%以下なら非対象/25%超でEAR適用 |
| 特定国(北朝鮮・イランなど) | 10%以下なら非対象/10%超でEAR適用 |
● 判断方法(考え方)
米国由来の部品や技術の価値(value)を積み上げ、その合計値を製品全体の価値で割ります。
米国成分価値 ÷ 製品総価値 = デミニマス割合
これが基準値(25%または10%)を超えるとEARが適用されます。
【例で理解】米国25%ルールの実際
例1:外国で製造したPCに米国製チップが入っている場合
-
PC全体の価値:1,000ドル
-
米国製チップの価値:100ドル
-
米国技術由来のソフト:50ドル
合計150ドル → 15%
→ 25%未満なので、通常国向けならEAR適用外
→ ただし特定国向け(10%ルール)は適用範囲に入る
例2:米国製ソフトの割合が大きい場合
ソフトウェアは構成価値が高くカウントされやすいため、デミニマス超過の要因となりやすい点に注意が必要です。
デミニマスルールが適用されるケース・されないケース
適用されるケース
-
外国製品に米国製のIC・部材が使用されている
-
米国技術を使用して設計された図面・データが製造過程に関与
-
米国製ソフトウェア/暗号機能を組み込んだ装置
-
外国企業が米国技術を利用して再輸出する製品
適用されないケース
-
完全に米国要素がない製品
-
EAR99(低リスク品)で一定条件を満たすもの
-
軍事品に該当し、ITAR(米国国務省規制)が適用される場合(別枠の規制)
EAR(米国輸出管理規則)との関係を整理しよう
デミニマスルールは、EARの一部に組み込まれた例外規定です。
EARについてはこちらの記事をご覧ください👉
【初心者向け】米国輸出規制「EAR」とは?わかりやすく解説!
EARの目的
-
米国の国家安全保障を守る
-
敵対国への軍事転用技術の流出を防ぐ
-
外交政策を支援
-
テロ支援国への流通を抑制
EARの対象は“米国製品”だけではない
-
米国で作られた製品
-
外国で作られたが米国技術を含む製品
-
米国人が関与した技術提供
この範囲を決めるために、デミニマスルールが使われています。
初心者が誤解しがちなポイント
✖ よくある誤解1
「米国から輸出していないから関係ない」
→ 間違いです。
外国で製造した製品にもEARが適用されます。
✖ よくある誤解2
「米国製部品が少しだけなら問題ない」
→ 基準値(10%・25%)を超えれば、少量でもEAR対象です。
✖ よくある誤解3
「個人輸出なら関係ない」
→ 金額ではなく“性質(技術)”で判断されます。
実務担当者が押さえるべきチェックポイント
製品を扱う企業は、デミニマス判定のために次の情報を把握する必要があります。
① 米国由来部品の有無
部品メーカーから以下を確認:
-
原産国
-
技術の由来
-
ECCN(輸出管理分類番号)
② 米国技術の関与度
設計図・ソフトウェア・製造装置などに米国技術が含まれる場合、割合計算が必要になります。
③ 仕向け国(輸出先)の分類
-
25%ルールの国か
-
10%ルールの国か
によって判定結果が変わります。
④ 計算方法の確認
企業によって見積方法が異なるため、サプライヤーとの共有が不可欠です。
デミニマスルールはどんな企業に関係する?
以下の業種は特に影響を受けやすいとされています。
-
電子部品メーカー
-
半導体製造企業
-
通信機器メーカー
-
航空・宇宙産業
-
ソフトウェア開発企業
-
商社(取扱製品に米国技術が含まれる場合)
-
EC輸出者(電子機器含有時)
米国製技術はあらゆる業界で重要な役割を果たすため、どの企業にも関係する可能性があります。
よくある質問(Q&A)
Q1. デミニマスの計算方法はメーカーごとに違う?

→ 基本の考え方は同じですが、
部品価値の算出タイミングなどが企業ごとに異なるため、確認が必要です。
Q2. 該非判定(ECCN分類)との違いは?

-
ECCN分類:製品の“性質”を判定する作業
-
デミニマス判定:米国成分の“割合”を判定する作業
両方の判定が必要です。
まとめ:デミニマスルールはEAR理解の基礎
デミニマスルールとは、
-
製品に含まれる米国技術の割合でEARの対象かどうかを判断する仕組み
-
通常国は25%、特定国は10%が閾値
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米国製品以外でも EAR が適用されうる
-
輸出管理のリスク評価に欠かせない基本概念
という重要なルールです。
国際取引の増加と経済安全保障の強化により、
デミニマスルールの理解は企業だけでなく個人輸出者にも必要になっています。
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