貿易のチャージとは?
貿易の見積書や請求書を初めて目にすると、「BAF」「CAF」「THC」などの専門用語がずらりと並んでいて戸惑った経験はありませんか?
これらは「貿易チャージ(サーチャージ)」と呼ばれる追加料金で、国際輸送のコストを理解するうえで欠かせない要素です。
貿易初心者にとっては「どんな意味があるの?」「誰が負担するの?」と疑問が尽きない部分ですが、この記事ではBAF・CAF・DRSといった代表的なチャージの意味や仕組みをやさしく解説します。さらに、ローカルチャージや支払い方法まで整理して、見積書を自信を持って読み解けるようになることを目指しましょう。
貿易チャージとは?
基本の考え方
貿易チャージとは、海上輸送の基本運賃(Ocean Freight)に加えて請求される追加料金のことです。
船会社やフォワーダーは、燃料費や為替変動、港湾事情など外部要因によって変動するコストをカバーするために、サーチャージを設定しています。
なぜ必要なの?
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国際物流は世界経済や環境変化の影響を受けやすい
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燃料価格の高騰、為替レートの変動、港の混雑などは予測が難しい
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船会社が安定したサービスを提供するため、追加料金でリスクを分散している
つまり、「貿易チャージ=国際物流を安定させるための仕組み」と考えると理解しやすいです。
主な貿易チャージの種類
BAF(Bunker Adjustment Factor:燃料サーチャージ)
BAFとは、船の燃料価格の変動を反映させるための追加料金です。
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燃料(バンカー油)の価格が上昇すると、BAFも上がる
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原油相場と密接に関わっており、時期によって変動が大きい
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環境規制により低硫黄燃料油の利用が義務化され、近年さらに注目されるチャージ
👉 例:「原油価格が上昇したため、来月からアジア航路のBAFが20%上がります」
CAF(Currency Adjustment Factor:為替サーチャージ)
CAFとは、為替レートの変動リスクを調整するための追加料金です。
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多くの海上運賃は米ドル建てで取引されるため、円安・円高の影響を受けやすい
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為替が大きく動くと、船会社にとっても輸送コストの見通しが難しくなる
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CAFを設定することで、船会社はリスクを分散し、安定した料金提示が可能に
👉 例:「円安が進んだため、CAFが上乗せされ、支払い総額が予想より高くなった」
DRS(Drayage Recovery Surcharge:ドレージ・リカバリー・サーチャージ)
DRSとは、港湾やヤードと倉庫・配送先の間をつなぐ短距離輸送(ドレージ)のコスト増加を回収するための追加料金です。
背景
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港の混雑やトラック不足で、ドレージコストが上昇
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燃料費や人件費の高騰も影響
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サービスを安定させるため、船会社やフォワーダーが導入
特徴
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コンテナ1本あたり「○○ドル」と定額で請求されるケースが多い
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発生するかどうか、金額は時期や港の状況によって変動
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BAFやCAFが「海上輸送」に関する調整なのに対し、DRSは「陸上輸送のドレージ部分」に特化
👉 例:「港湾混雑によりトラック待機時間が増えたため、DRSが追加請求されました」
その他の代表的なチャージ
貿易チャージを理解するには、その他のチャージも押さえておく必要があります。
よく見かけるチャージ
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D/O Fee(Delivery Order Fee): 船会社が貨物引取指図書を発行する手数料
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THC(Terminal Handling Charge): 港やターミナルでの荷役・取り扱い料金
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ミニマムハンドリングチャージ(Minimum Handling Charge): 港で最低限かかる取り扱い費用
👉 ローカルチャージは国や港ごとに異なるため、「同じ航路でも港によって料金が変わる」ことがよくあります。
チャージは誰が負担する?支払い方法と注意点
インコタームズによる違い
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FOB(Free On Board): 基本的に輸入者がBAF・CAF・DRS等のチャージを負担
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CIF(Cost, Insurance, Freight): 輸出者がまとめて負担するケースが多い
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契約条件や取引先の取り決めによって変わるため、必ず明細を確認しましょう
実務でのチェックポイント
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見積比較の際は「海上運賃+各種チャージを合算した総額」で比較すること
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同じ海上or航空運賃でも、サーチャージ次第で総額が大きく変わることがあります
よくある質問(Q&A)
Q1:BAFやCAFは必ず払うの?

→ 基本運賃に含まれていなければ必ず支払います。
Q2:DRSって危険地域向けのリスク料金?

→ いいえ。正式には「ドレージ・リカバリー・サーチャージ」で、港〜倉庫間の短距離輸送コストを補填する料金です。
Q3:船会社によって金額は違うの?

→ はい。同じ航路でも各社のポリシーやコスト構造で異なります。
Q4:ローカルチャージとの違いは?

→ BAF・CAF・DRSは世界的・経済的要因に基づく変動費、ローカルチャージは港や施設ごとの費用です。
まとめ:貿易のチャージを理解すれば貿易はもっとクリアに
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BAF=燃料の変動調整
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CAF=為替の変動調整
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DRS=港〜倉庫間の短距離輸送費用補填
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ローカルチャージ=港や施設ごとの作業費用
これらを理解すると、「なぜこの金額なのか?」が見えてきて、コスト交渉や見積比較がスムーズになります。
最初は難しく感じても、ひとつずつ覚えていけば必ず実務に役立ちます。
👉 次は「インコタームズの基礎」を学んでおくと、さらに理解が深まりますよ!
【通関士試験・初心者向け 貿易用語集】インコタームズって何?わかりやすく解説!
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