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【通関士試験・初心者向け 貿易用語集】関税は輸入側・輸出側どちらが払う?

貿易用語集
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関税の基本とその役割

関税は、通常輸入者が支払うことが多いですが、取引ごとに双方で取り決める*インコタームズ(Incoterms)*により支払う者が決められる場合があります。

また、関税とは、輸入品に対して課される税金で、国が税関を通じて徴収します。主要な貿易国では、この関税制度が貿易政策の重要な一部を占めており、関税は、主に次のような目的で課されます。

1.1 関税の目的

  • 国内産業の保護
    多くの国では、国内産業を保護するために、外国から輸入される製品に対して税金を課すことで、自国の製品が競争力を持つようにしています。例えば、アメリカや中国は、自国の製造業を保護するために特定の輸入品に高い関税を課すことがあります。

  • 政府の収入源
    関税は政府にとって大きな収入源の一つであり、これによって国家の予算を補うことができます。特に発展途上国では、関税が主要な財源となることが多いですが、アメリカ、中国、ヨーロッパ諸国などの大国でも依然として重要な収入源です。

  • 貿易交渉のツール
    関税は、国際的な貿易交渉で使用されるツールとしても重要です。例えば、アメリカと中国の間では、貿易戦争において関税を相互に課すことで、双方の交渉力を強化しようとする戦略が取られています。

1.2 関税の影響

  • 消費者価格の上昇
    輸入品に関税が課されると、その分のコストが商品の価格に上乗せされます。アメリカや中国、ヨーロッパのような大きな市場では、輸入品に対する関税が消費者物価に大きな影響を与えることがあります。

  • 貿易流通の変動
    関税の高さや種類が変更されると、輸入品の流通量に大きな影響を与えることがあります。特に、アメリカと中国の貿易においては、関税の引き上げや引き下げが貿易の流れを大きく変える要因となります。


輸入者側が支払う関税

関税は通常、輸入者が支払うことが多いですが、アメリカや中国の貿易実務では、その仕組みがどのように機能するのかを理解しておくことが重要です。特に両国は、異なる貿易政策を取っており、それが関税の取り扱いにも影響を与えています。

2.1 輸入者が関税を負担する背景

関税は通常、輸入者が支払うことが決まっており、その理由には貿易契約における*インコタームズ(Incoterms)*に基づくものがあります。アメリカと中国の間では、関税が貿易協定や経済政策において重要な役割を果たしています。

アメリカと中国の関税政策

  • アメリカの関税政策
    アメリカは、中国からの輸入品に高い関税を課していることが多く、これは主に中国が不公平な貿易慣行をしているとして、貿易戦争の一環として実施されました。このような政策は、アメリカ国内の企業を保護し、しばしば貿易赤字を削減する目的で行われます。

  • 中国の関税政策
    一方、中国もアメリカからの輸入品に対して関税を課し、アメリカの政策に対抗しています。中国は、特定の製品に対して関税を引き下げることもありますが、同時に国内市場を保護するために関税を調整することもあります。

2.2 インコタームズによる関税の支払い者の変化

*インコタームズ(Incoterms)*とは、国際貿易において商品の引き渡しと責任の範囲を定める規則で、売主と買主の間でどこまでがそれぞれの責任なのかを明確にします。これによって、関税の支払いがどちらの側に発生するかが変わることがあります。インコタームズの種類によって、*輸入者(買主)または輸出者(売主)*が関税を負担するかが決まります。

インコタームズの主要なパターンと支払い者

以下のインコタームズのパターンに従って、関税の支払い者がどのように変わるのかを見ていきましょう。

1. FOB(Free on Board/本船渡し)
  • 関税支払い者:輸入者(買主)
  • 説明:FOBでは、売主は商品を出発港で船積みし、その後の費用やリスクは買主に移転します。輸入者は輸入時の関税支払いを行う必要があり、輸出者は輸出手続きと輸出関税を負担しますが、輸入関税は買主の責任です。
2. CIF(Cost, Insurance and Freight/運賃・保険料込み)
  • 関税支払い者:輸入者(買主)
  • 説明:CIFでは、売主が運賃と保険を負担して商品を指定港まで運びます。しかし、輸入時の関税やその他の費用(輸入税、通関費用など)は買主が負担します。このインコタームズでも、最終的に関税の支払いは買主の責任となります。
3. DDP(Delivered Duty Paid/関税込み持込渡し)
  • 関税支払い者輸出者(売主)
  • 説明:DDPでは、売主が全ての費用とリスクを負担し、商品を指定場所まで配送します。この場合、売主が輸入関税を含むすべての費用を支払います。したがって、輸入者(買主)は関税やその他の費用を負担せず、関税支払い者は売主となります。
4. DAP(Delivered at Place/指定場所持込渡し)
  • 関税支払い者:輸入者(買主)
  • 説明:DAPでは、売主が指定の場所まで商品を届けますが、関税やその他の輸入手続きは買主の責任です。輸入者(買主)は、商品を受け取るために関税を支払わなければなりません。

インコタームズによる支払い責任の実務的な影響

インコタームズが関税の支払い責任に及ぼす影響は、貿易契約の交渉や運営において非常に重要です。例えば、FOBの取引では、買主が輸入関税を支払うことになりますが、DDPでは、売主が輸入関税を支払うため、買主は事務手続きにおいて手間が少なく、費用も予め確定しているというメリットがあります。

また、CIFDAPのようなインコタームズでは、売主が一部の費用を負担しますが、輸入者が最終的に関税を支払う点では共通しています。これにより、売主と買主の間でコスト負担の分担が変わり、取引条件によって双方のリスクや手続きが大きく異なることが分かります。

2.3 輸入者の支払い手続き

輸入者が関税を支払うためには、以下のような手順が必要です。

  1. インボイスやパッキングリストの提出
    輸入者は、商品に関するインボイスやパッキングリストを税関に提出し、正確な商品内容を明示します。

  2. 関税の計算
    税関は、輸入された商品の内容に基づいて関税を計算します。商品ごとに適用される関税率が異なるため、輸入者はそれぞれの国の税率を確認する必要があります。

  3. 関税の支払い
    輸入者は、計算された関税を支払った後、商品を受け取ることができます。輸入国側では、関税支払い後に通関が完了し、商品が市場に流通します。

2.4 輸入側が支払う関税の影響

  • コスト負担の増加
    アメリカや中国のような大国では、関税が製品の価格に大きく影響を与え、最終的に消費者にそのコストが転嫁されることになります。特に、高い関税が課されるものは、消費者物価の上昇に直結します。

  • 関税回避のための戦略
    輸入者は、相手国側との貿易において、関税を回避するために*FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)*を活用することがあります。これにより、両国間で優遇された関税率を享受することが可能になります。

FTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)についてはこちらもご覧ください

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まとめ

関税は、通常輸入者が支払うことが多いですが、取引ごとに双方で取り決めるインコタームズにより判断します。特にアメリカや中国のような大国では、関税政策が貿易戦争や経済政策において重要な要素となります。輸入者は、これらの国の関税仕組みを理解し、インコタームズや経済協定を活用することで、貿易コストを最適化することが求められます。

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