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【通関士試験対策を解説】課税価格決定の原則とは?重要ポイントまとめ

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課税価格決定の原則とは?

輸入貨物の課税標準となる価格(以下「課税価格」といいます)は、原則として、買手が売手に対して支払った、または支払うべき実際の取引価格に、一定の運賃・保険料などの必要な費用を加算した金額と定められています。
※ただし、一定の特例が適用される場合を除きます。

この「課税価格の決定方法」は、輸入取引の価格で適正に関税を支払うことができるかを判断する重要な基準であり、通関士試験でも毎年出題される頻出分野です。

課税価格の全体像を知りたい方は、まず以下の記事をご覧ください👉

試験対策:課税価格の原則的な考え方を押さえよう!

通関士試験対策では、以下の観点を重点的に理解しておくことが重要です。

  • 現実支払価格から控除できる費用

  • 現実支払価格に加算すべき費用

  • その他、試験に出題されやすい特別な費用処理

これらを体系的に理解し、「控除すべきもの」「加算すべきもの」を正確に区別できるようにしておきましょう!

課税価格決定の原則の解説!

現実支払い価格 控除する費用

輸入貨物に関して買手が売手に支払った、または支払うべき総額が「現実支払価格」です。ただし、次の1~4に該当する費用は控除され、課税価格には含まれません。

関税定率法施行令第1条の4(輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格)

現実に支払われた又は支払われるべき価格は、当該輸入貨物につき、買手により売手に対し又は売手のために行われた又は行われるべき支払の総額とする。ただし、次の①~④掲げる費用等の額は含まないものとする。

  1. 当該輸入貨物の輸入申告の時の属する日以後に行われる当該輸入貨物に係る据付け、組立て、整備又は技術指導に要する役務の費用
  2. 当該輸入貨物の輸入港到着後の運送に要する運賃、保険料その他当該運送に関連する費用
  3. 本邦において当該輸入貨物に課される関税その他の公課
  4. 当該輸入貨物に係る輸入取引が延払条件付取引である場合における延払金利

対策ポイント解説

  • 課税価格に1~4が含まれており、金額を明らかにすることができる場合は控除可能。

  • 1~4の金額が明らかでない場合は、控除できず現実支払価格に含まれる。

  • 輸入申告価格はCIF価格が原則なので、到着後の費用は除外対象。

現実支払い価格 加算すべき費用

輸入貨物の課税価格には、以下の費用を現実支払価格に加算しなければなりません(除外されている場合)。

関税定率法第4条第1項(課税価格の決定の原則)

輸入貨物の課税価格は、当該輸入貨物に係る輸入取引がされた場合において、当該輸入取引に関し買手により売手に対し又は売手のために、当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格に、その含まれていない限度において次に掲げる運賃等の額を加えた価格とする。

輸送費用

  1. 輸入港までの運賃保険料等買い手により負担される費用
  2. 仲介料その他の手数料(買い手を代理する者に対し、買付けに係る業務対価として支払われる手数料は除く。)
  3. 当該輸入貨物の容器の費用
  4. 当該輸入貨物の包装に要する費用

買い手により無償でまたは値引きをして、直接または間接に提供された物品または役務費用のうち、次に該当するもの

  1. 当該輸入貨物に組み込まれている材料、部分品又はこれらに類するもの
  2. 当該輸入貨物の生産のために使用された工具、鋳型又はこれらに類するもの
  3. 当該輸入貨物の生産の過程で消費された物品
  4. 技術、設計その他当該輸入貨物の生産に関する役務で本邦以外で開発されたもの

ロイヤリティ・ライセンスの費用

  1. 当該輸入貨物に係る特許権、意匠権、商標権その他これらに類するもので政令で定めるものの使用に伴う対価で、当該輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみて当該輸入貨物の輸入取引をするために買手により直接又は間接に支払われるもの

売手帰属収益

  1. 買手による当該輸入貨物の処分又は使用による収益で直接又は間接に売手に帰属するものとされているもの

対策ポイント解説

  • 特に技術・設計費用は「本邦以外で開発」された場合のみ加算対象

  • ロイヤリティ・ライセンス料は、輸入貨物の取引関するものだけが対象。

その他の特殊な控除・加算要素

課税価格決定には、さらに細かな通達が存在します。以下を押さえましょう。

関税定率法基本通達4―8 (課税価格に含まれる輸入港までの運賃等)

「輸入港に到着するまでの運送に要する運賃」とは、輸入貨物を輸入港 まで運送するために実際に要した運送費用をいい、当該輸入貨物の輸出港までの運送費用を含み、次に掲げる費用を含む。

  1. 輸入貨物を運送するために要した積付資材費、船舶改装費等の費用
  2. 為替相場の変動による補てん金
  3. コンテナー賃借料(輸入港到着日(入港日を含む。)までの期間に 対応する額が明らかな場合には、当該賃借料の額は、当該期間に対応する額によるものとし、輸入港到着日の翌日以降の期間に対応する額を含まないものとする。)

対策ポイント解説

  • 課税価格に含まれていない場合、その課税価格に加算する必要がある。

 

関税定率法基本通達4―8 (課税価格に含まれる輸入港までの運賃等)

輸入港までの運賃等は、次に掲げるような輸入貨物の輸入港到着後の運賃等を含まない。

  1. 輸入港における船卸し等の費用
  2. 輸入港到着後に行われた船舶の復旧に係る費用
  3. 国内運賃
  4. 航海用船契約に基づき輸入貨物の運送をした船舶の復路の空船回漕料
  5. 輸入税保険(Duty Insurance)に係る保険料
  6. 国内運送に係る保険料
  7. 輸入貨物の運送に関連する「着払運賃取扱料」(Collect Charge)及び「立替手数料」(Disbursement Fee)

対策ポイント解説

  • 課税価格に含まれている場合、その課税価格から控除する必要がある。

 

関税定率法基本通達4―5(データ処理機器に使用されるソフトウェアを記録したキャリアメディアの評価)

ソフトウェアを記録しているキャリアメディアの課税価格は、当該ソフトウェアの価格がキャリアメディアの価格と区別される場合はキャリアメディアの価格とする。

「ソフトウェア」とは、データ処理機器の運用に関係する計算機プログラム、手順、規則又はデータ処理機器に使用されるデータをいう。「キャリアメディア」とは、磁気ディスク、カードその他これらに類するものでソフトウェアを運搬又は貯蔵するための物品をいう。

対策ポイント解説

  • データ処理機器用の「ソフトウェア」と記録した媒体(キャリアメディア)については、価格が区別されている場合、キャリアメディア価格を課税価格に含める。

【通関士試験対策】過去問チャレンジ!

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関税定率法 課税価格決定の原則

ここでは、過去出題された【関税定率法 課税価格決定の原則】に関する問題を出題します。

1 / 6

(第58回通関士試験より)

輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に係る保険料は課税価格に算入することとされているが、国内運送に係る保険料は、いかなる場合でも課税価格に含まれないこととされている。

2 / 6

(第52回通関士試験より)

輸入貨物に係る輸入取引に関し買手により負担される当該輸入貨物の容器の費用のうち、当該輸入貨物の通常の容器と同一の種類及び価値を有するものの費用は、当該輸入貨物の課税価格に含まれる。

3 / 6

(第54回通関士試験より)

輸入貨物に係る輸入取引に関し買手により負担される手数料のうち、専ら買手の管理の下で買手の計算と危険負担により、買付けに係るクレーム処理に関する交渉を行う業務をする者に対し、当該業務の対価として支払われるものの額は課税価格に含まれない。

4 / 6

(第55回通関士試験より)

売手が権利を所有する意匠が実施されているおもちゃの原型が輸入された場合において、買手が当該売手に対して、当該原型の代金とは別に当該原型を使用して同じおもちゃを本邦において製造する権利の対価を支払っているときは、当該対価は当該原型の課税価格に含まれる。

5 / 6

(第54回通関士試験より)

輸入貨物の生産及び輸入取引に関連して、買手により値引きをして提供された役務のうち、当該輸入貨物の生産のために必要とされた意匠であって本邦において開発されたものに要する費用の額は課税価格に含まれる

6 / 6

(第55回通関士試験より)

輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃、保険料その他当該運送に関連する費用は課税価格に算入することとされており、「その他当該運送に関連する費用」には、当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格に含まれていない限度において、輸出国において要したコンテナー・サービス・チャージが含まれる。

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まとめ】課税価格決定の原則は「引き算」と「足し算」が命!

通関士試験対策としては、それぞれの費用項目が「加算要素」なのか「控除要素」なのかを正しく理解し、通達の根拠とセットで暗記・整理しておくことがポイントです。

ポイント 内容
控除するもの 据付け費用、国内運送費、国内税金、延払金利
加算するもの 輸送費用、仲介料、容器・包装費用、無償提供物、ロイヤリティ等
特殊な例 ソフトウェアはキャリアメディア価格の課税対象

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